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法話コラム ウグイス谷から

住職 佐山拓郎

VOL.134 住職佐山のコラム(2019春号)

 法然上人が、善導大師の「観経疏(かんぎょうしょ)」の一文からきっかけを得て浄土宗を開宗したのは、四十三歳のとき。私も、昨年の秋彼岸に、同じ四十三歳となった。日々の精進の中で、法然上人と観経疏のような出会いを求めながら、あせらず進んでいる。
 「一心(いっしん)専念(せんねん)弥陀(みだ)名号(みょうごう) 行住坐臥(ぎょうじゅうざが)不問(ふもん)時節(じせつ)久(く)近(ごん) 念(ねん)念(ねん)不(ふ)捨(しゃ)者(しゃ)是(ぜ)名(みょう)正(しょう)定(じょう)之(し)業(ごう) 順(じゅん)彼仏(ぴぶつ)願(がん)故(こ)」という、その善導大師の文章は、浄土宗の「立教開宗の文」として、今に伝わっている。意訳すると「いつでも、どこでも、ひたすら阿弥陀仏の名を称えること。これを継続することが、往生のための正しい行いであり、阿弥陀仏の本願なのだ」といった意味になる。
 法然上人は、広大な仏教の教えから、この文を根拠として、念仏の教えを選びとった。当時、往生するには、出家して、厳しい修行を積まなければならないという考え方が主流だったが、法然上人が、すべての人が平等に救われる、万人のための仏教を「選択(せんちゃく)」し、説かれたことから、庶民にも、仏教の尊さが伝わったのである。
法然上人が、選びとった道をまっすぐに進んだ人であったことから、浄土宗では「選択」という行動を重んじている。選択が、夢を叶える第一歩となり、選択から、人の幸せは始まる。

先日、五人のアイドルグループが、「二年後に活動を休止する」という大きな選択をした。「自由に暮らしたい」という、そのグループのリーダーの希望を叶えるために、五人で話し合いを重ねて決めた、大事な選択であっただろう。
活動休止を発表した会見の中で「無責任じゃないかという指摘もあるのではないか」という質問が出た。確かに、人の選択には責任が伴う。この質問は、一瞬、メンバーの顔を曇らせたが、彼らが堂々と質問に答えた結果、私たちは、グループの絆やリーダーへの愛を再確認させられた。

「責任」は、誰のために果たすものなのか。まわりの人のためだ、という意見もあるだろうが、本来は、自分のために果たすものである。逆に言うと、自分以外の選択には、責任をとることができない。親からの期待に全て応える必要はないし、会社からの期待に応えるかどうかも、決めるのは自分なのだ。
「まわりのために責任を果たそう」と、自分で選択することは尊い。だが、その選択によって、自分が潰れてしまっては仕方がない。その選択が誰のためなのか、よく見極めることが、幸せへの道である。

連載記事アーカイブ

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ウグイス谷から 住職 佐山拓郎

前住職 佐山拓郎(第40世 平成26年~令和3年)

昭和のある年の秋彼岸、東京下町の小さなお寺で生まれる。
前職はサラリーマン。縁あって目黒の羅漢寺の住職となる。

仏教手習い草紙 執事 福田貴宏

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現住職 無垢品 宗生(第40世 令和3年 晋山)

縁を大切にしたいと人気声優と手紙のやりとりを続け、
今年の1月には彼らが司会を務めるラジオ番組にも出演する。

寺宝探訪記 執事 堀研心

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