執事 堀研心
● 前回からの続き
羅漢像の修理・修復は、「現状維持修復」といって、これ以上壊れたり、朽ちてしまうことを防止することを目的とした修理・修復です。
「修復したから新品同様になる」わけではありません。見た目には、どこを修理されたのかわからないかもしれませんが、羅漢像を恒久的に維持していくための修理・修復です。
羅漢堂に安置されている「093 頭陀僧尊者(ずだそうそんじゃ)」は、さいたま市にある「古文化財保存修復研究所」で修理・修復されました。
修理工程 (施行内容)
① 全体の汚れ・埃を清掃した。
清掃は刷毛(はけ)等を用いて行い、薬品を用いての過剰な清掃は控えた。体幹部分は掃除機で清掃を行った。
② 後補表面の除去を行った。
顔面・瞼(まぶた)の一部、鼻左脇、左右の耳の一部、首右前面の一部、鉢の内部に残る金箔部は除去した。
肉身部は、当初と考える黒漆(くろうるし)部分に基準をおき、その上に被る後補の下地は除去し、黒漆面を露した。
衣部分は縁の装飾部の泥地は除去したが、その他は現状を維持した。
③ 一部浮いていた表面には剥落止めを行った。
④ 頭部を体幹部から取り外し、更に前後の部材に解体した。
ーー 次回は、修理工程の後半と修理後の状態です。
前住職 佐山拓郎(第40世 平成26年~令和3年)
昭和のある年の秋彼岸、東京下町の小さなお寺で生まれる。
前職はサラリーマン。縁あって目黒の羅漢寺の住職となる。
執事 福田 貴宏
現住職 無垢品 宗生(第40世 令和3年 晋山)
縁を大切にしたいと人気声優と手紙のやりとりを続け、
今年の1月には彼らが司会を務めるラジオ番組にも出演する。
執事 堀 研心