執事 無垢品宗生
皆さま、令和ですね。真夏並みに暑いですね。新元号には慣れましたか?有名寺社仏閣さんは御朱印フィーバーに沸いたようですが、残念ながら我が羅漢寺はそこまでではなかったです。
さて令和初の体験日記。5月16日に両国回向院にて開催された表題の展示会にお邪魔しました。実行委員長吉水岳彦先生は本当に尊敬しているお上人ですし、関係者の皆さんが心血を注いで準備をされたとのことで楽しみにしておりました。
まず「行誡(ぎょうかい)」とは回向院住職でもあり明治第一の高僧と名高い福田行誡上人、そして「弁栄(べんねい)」とは行誡上人より50歳年下の、念仏三昧の聖者山崎弁栄上人という、ともに明治時代に活躍した浄土宗僧侶です。さらに両上人は面識があり、お互いを認め合う関係だったようです。
この展示会は弁栄上人の百回忌ならびに行誡上人の廃仏毀釈より日本仏教再興150年を記念して、墨跡や仏画を中心にお二人の遺作86点が全国各地から出開帳されたものです。
行誡上人とは廃仏毀釈により混乱していた日本仏教界の代表として再興運動に立ち上がった際、当時衰退していた五百羅漢寺再建にご尽力いただいた記録があることをこの度知り、不思議なご縁を感じずにはおれません。
また弁栄上人の仏画は繊細で慈愛に満ちていて、菩薩や如来様のお顔立ちが本当にお優しい。多忙な中、ご案内くださった吉水上人が「私もこのような慈しみのまなざしを持ちたいものです」としみじみと仰っていたのが印象的です。しかしご本人は謙遜されるでしょうが、「いやいや、そう言ってるあなたの横顔がすでにそのような面差しですがね」と私は心の中でツッコんでおりました。
後半は図録を監修された金田昭教上人の解説を拝聴しながら作品群を拝ませていただきましたが、お話が興味深くあっという間に閉館時間に。
終わりに個人的に面白かったお話をひとつ。弁栄上人の作品に弥陀三尊来迎図という代表作があり、そこには臨終来迎のシーンが描写されています。その中で観音様は死者が乗るためのハスの台座を持ってお迎えに来られているのですが、「このようにきちんと『台有り』でお迎えにきていただけるように普段からお念仏の生活を過ごしましょうね。決して『台無し』になることがないように…」とのこと。なるほど!
「一経入魂」
追記:入口のご本尊の前には在日ベトナム仏教信者会との交流から、両上人有縁の地、松戸にて2年前に命を奪われたリンちゃんの遺影が飾られておりましたのでお焼香させていただきました。合掌。
前住職 佐山拓郎(第40世 平成26年~令和3年)
昭和のある年の秋彼岸、東京下町の小さなお寺で生まれる。
前職はサラリーマン。縁あって目黒の羅漢寺の住職となる。
執事 福田 貴宏
現住職 無垢品 宗生(第40世 令和3年 晋山)
縁を大切にしたいと人気声優と手紙のやりとりを続け、
今年の1月には彼らが司会を務めるラジオ番組にも出演する。
執事 堀 研心