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寺宝探訪記

執事 堀研心

VOL.135 寺宝探訪記 羅漢像修理報告 097 無相空尊者②

毎年、3~4体ずつ修理されている羅漢像。これまで修理された羅漢像を紹介します。

※羅漢像の修理・修復は、「現状維持修復」といって、壊れたり、朽ちてしまうことを防止することを目的とした修理・修復です。「修復したから新品同様になる」わけではありません。見た目には、どこを修理されたのかわからないかもしれませんが、羅漢像を恒久的に維持していくための修理・修復です。

 

羅漢堂に安置されている「097 無相空尊者(むそうくうそんじゃ)」は、さいたま市にある「古文化財保存修復研究所」で修理・修復されました。

無相空尊者の損傷状態は、たいへん厳しいものでした。崩壊のおそれがあり(すでに崩壊していたとも言える)一刻も早い修復が必要でした。

修復は大規模なものになったので、今回は「修復工程」の画像を紹介します。

 

施行内容

【1】全部の汚れ・埃を清掃し、全てを部材ごとに解体した。

 

全体の埃は刷毛を用いて清掃した。

 

仮補修で取り付けられた部材を取り外した。

 

頭部を体幹部から取り外した。

 

体幹部より膝前材を取り外した。

 

前面材も取り外された。

 

膝前材と前面材が取り外された体幹部。

 

【2】各部材の矧ぎ面を再度清掃し、再接合した。その際、組み立てに必要な構造材を新たに取り付けた。

浮いた漆表面層の剥落止めの作業を行った。

 

パラロイドB72をトルエンで希釈した溶液を用いて行った。

 

浮いた隙間に溶液を筆で注しいれた。

頭部表面の剥落止め作業。

 

再び組み上げるために各部材を仮組した。

 

接合には麦漆を用いた。

 

接合作業。

 

首回りの部材が欠失していたので仮補助材を用いた。

 

軸木に頭部を載せ、高さ・角度・方向を確認した。

 

頭部の仮組作業。

 

左右の肩と背板上部に新補材を取り付けた。

 

左手・欠失部も新補を行った。

 

左胸の欠失部の新補作業

 

剥落し反り返った漆表面を湿らせ柔らかくした。

 

漆表面は右胸の元の位置に戻される。

 

表面の復元作業。

 

左大腿部・欠失部の新補。

 

剥落した胸部表面の補修作業。

 

木屎漆で塑形し、錆漆で表面を整えた。

 

体幹部の新補部分。

 

背面部の新補部分。

 

体幹部に膝前材を取り付けた。

 

欠失していた左足先を新補した。

 

左足先の新補部分。

 

漆で新補部分の木地固めを行った。

 

用語解説

◆「矧ぎ(はぎ)」

「矧ぎ(はぎ)」とは、幅広の材をつくるために、板を幅方向に接合することの総称。板の側面同士を接ぎ合わせることを「板をはぐ」と言う。

◆「麦漆(むぎうるし)」

小麦粉と姫糊ひめのりに生漆(きうるし)を混ぜ合わせた漆。漆器・陶器・木工品などの割れた部分を接合させるのに用いる。

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ウグイス谷から 住職 佐山拓郎

住職 佐山拓郎(平成26年 普山 第40世)

昭和のある年の秋彼岸、東京下町の小さなお寺で生まれる。
前職はサラリーマン。縁あって目黒の羅漢寺の住職となる。

仏教手習い草紙 執事 福田貴宏

執事 福田 貴宏

体験日記 執事 無垢品宗生

執事 無垢品 宗生

縁を大切にしたいと人気声優と手紙のやりとりを続け、
今年の1月には彼らが司会を務めるラジオ番組にも出演する。

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執事 堀 研心