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法話コラム ウグイス谷から

住職 佐山拓郎

VOL.130 住職佐山のコラム(2018春号)

 先月、三笠書房の「知的生きかた文庫」というシリーズから、『流されない練習』という、私の初の著書が発売された。全国の書店や、amazonなどインターネット、そしてもちろん、五百羅漢寺の売店でも販売している。税込650円。会社員時代の経験や、僧侶となってからの学び。そして、住職として積み重ねてきたことなど、現在の私の総決算ともいえる内容となっている。少しでも、多くの方の目にふれるといいな、と思う。

 自分名義の本を出すというのは、子供の頃から漠然と持っていた夢でもあった。ひょんなことから、その夢が叶うことになり、なんだかまだ実感がないような気もしている。

 私が投稿していた「フリースタイルな僧侶たち」の「しりとり法話」や、僧侶への相談サイト「hasunoha」での回答、そしてこの「らかんさん」での連載などが、編集部の目にとまり、今回の依頼となったのだという。有難い話である。

 

 会社員時代、疲れきっていた私は、縁あってこの五百羅漢寺の執事となった。管理職だった会社員時代と違い、以前の住職や先輩方の言う事を聞いていればよい状況となり、(こんな事を言うと怒られてしまうかもしれないが)しばらくは気楽な立場を満喫していた。

 だが、そのうちに、なんとなく満たされない気持ちになっている自分に気づいた。以前に感じていたストレスからは解放されたものの、心のどこかに、隙間が空いているような感覚。

 そんなある日、ぼんやりと見ていた「M-1グランプリ」で優勝したあるコンビが、テレビカメラの前で、はばかる事なく号泣する姿を見て、私はその感覚の正体を理解した。

「今の自分が、何か目標を達成し、人前で泣くことなど、まずないだろう」

「目標に向かって努力し、それが報われて、泣くことができるなんて、うらやましい」

「このままではいけない。私も、何か打ち込めることを探さなければ」

 居ても立ってもいられなくなった私は、とりあえずパソコンの前に座り、「若手僧侶」と検索した。そこには、自分にしかできない使命をとっくに見つけ、イキイキと活動している若手僧侶が、あふれていた。

 

 こうして、「仏教に馴染みのない方に、わかりやすく仏の教えを伝えていく」という、私の目標は生まれた。「なんとなく満たされない」という思いが、M-1グランプリによって具体化し、前進してきた結果、いつしか私は五百羅漢寺の住職となり、本を出すという夢まで叶った。

 前進し続けていることで、良縁は結ばれる。自分の心の声に気づき、その声を無視しないことで、それが形になることもあるのだ。

 

 奇跡のようだが、私が体験した実話である。

連載記事アーカイブ

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  • 仏教手習い草紙
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  • 寺宝探訪記

ウグイス谷から 住職 佐山拓郎

住職 佐山拓郎(平成26年 普山 第40世)

昭和のある年の秋彼岸、東京下町の小さなお寺で生まれる。
前職はサラリーマン。縁あって目黒の羅漢寺の住職となる。

仏教手習い草紙 執事 福田貴宏

執事 福田 貴宏

体験日記 執事 無垢品宗生

執事 無垢品 宗生

縁を大切にしたいと人気声優と手紙のやりとりを続け、
今年の1月には彼らが司会を務めるラジオ番組にも出演する。

寺宝探訪記 執事 堀研心

執事 堀 研心